ペダリングジストニア(原因編)

ペダリング時の動作特異性ジストニアに関して、複数回のシリーズに分けてお送りする。シリーズ1回目は、なぜ私がジストニアになってしまったのか、その原因を考察する。

連載の一覧はこちら。

  1. 原因編
  2. データ解析編
  3. 発生機序編
  4. リハビリ戦略編
  5. トレーニング編

※諸注意

この記事は、できるだけ客観的なデータや論文に基づいて書くように努力していますが、かなり広範囲にわたって私個人の体験と意見、さらには他人が提唱した仮説を元に構成されています。もしこの記事を参考にする方は、そのことを十分に承知したうえで自己責任でご活用ください。

ジストニアとは

ジストニアとは、「ジストニアの病態と治療」によると、

持続的な筋収縮を呈する症候群であり、しばしば捻転性・反復性の運動、または異常な姿勢をきたす

と定義されている。一般的なジストニアに関する情報はWikipediaNPO法人ジストニア友の会のホームページに詳しく書いてあるので、詳しく知りたいという方はそちらをご参照頂きたい。

文字を書くときにジストニア症状で書けなくなることを書痙、音楽家が楽器を演奏できなくなるとかゴルファーがパターを打てなくなることを職業性ジストニアなどと呼ぶことがある。この記事では、不随意な筋収縮が起こることによってペダリング動作が阻害される症状をペダリングジストニアと呼ぶことにする。

ペダリングジストニアの症状

(2017年2月9日追記)

YouTubeに2015年11月当時のペダリング動画が残っていたので、ここに掲載する。

Sonyのアクションカムで撮影しているため画面の端の方が多少歪んでいるが、どのようなペダリングをしているのか把握する分には問題ないと思う。サドル高杉なんじゃね? 疑惑はとりあえず横に置いておいて、この時点では普通にペダリングできていることが分かる。

次に、この動画をご覧いただきたい。

撮影したのは2016年10月29日。いよいよ右脚のコントロールが効かなくなってきたころだ。

動画を見ると、右足首が伸びたままペダリングしていることが分かる。また、(分かりにくいが)たまに踵がカックンと跳ね上がる様子も観察できる。実は、足首は伸ばそうと思って伸ばしているのではない。私の意図に反して伸びきっているのだ。踵が下がった状態にしようとするが、数秒と持たずに再び踵が跳ね上がるのである。

私の症状はまだ軽いほうだと考えている。次の動画をご覧いただきたい。

私の症状と比べて、足首カックンがさらに酷い。また、この方は同時に大腿四頭筋の筋緊張が生じると述べている。私の場合は、大腿四頭筋の筋緊張は感じられない。

このようにジストニアに罹患すると、自分とは意図しない運動――不随意運動によってペダリング動作が阻害される。

ジストニアになってしまった原因

次に、私がジストニアになってしまった原因について考察する。

脚の左右差と筋拘縮

ごく一部の人には打ち明けていたが、私は自転車を始めた当初からペダリングに左右差を感じていた。左右でクランク軸がずれていて右の軸が常に後ろに感じられ、右ペダルが常に右下に傾いているような感覚だった。「右ペダルのシャフトが曲がってませんか?」と、3回くらいジャイアントストア大阪のスタッフに訴えたが、当然ペダリングシャフトに異常はなかった。

私は、左右差があるのはごく自然なことだと思い、右脚と左脚は別の生き物だと思ってこの3年間を過ごしてきた。弱虫ペダルに登場する泉田塔一郎は、大胸筋に名前を付けて「アンディは攻撃的で排他的、フランクは慎重かつ大胆」な性格をしていると、その性格まで把握していた。私の場合、名前こそ付けていないが、「右脚は非効率的だがハイパワー、左脚はローパワーだが効率的」と性格は把握している。

最近になって、ようやくこの感覚の原因が分かってきた。まず、左右の腸骨や大転子の位置を確認すると左が前に右が後ろにずれていたことから、骨盤がねじれていることが判明。さらに、右脚だけ酷いX脚になっていた。つまり、ずれていたのは自転車の方ではなく私の骨格だったのだ。まぁ、当たり前と言えば当たり前なのだが、気づくのが遅かったわ……。

図1. 前から見た下肢の模式図

図1に、下肢の模式図を示す。真正面から見た図になっており、つま先が前に見えている状態である。先日、わらにもすがる思いで整体に行ったとき、殿筋群(大臀筋や中殿筋)や大腿四頭筋群が酷い拘縮を起こしていると指摘された。拘縮とは、筋肉が収縮した状態で固くなり元に戻らなくなる現象を指す。基本的に左右両方とも筋肉はカチコチだったのだが、右の大腿四頭筋群はより酷かったらしい。結果、右の下腿外側が引っ張られてX脚になっていたようだ。

図2. 自転車乗車時(※かなり誇張して描いている)

そのような状態でサドルにまたがるとどうなるかを表したのが、図2である。サドル上では骨盤を水平に保つことができるため、右脚の変形による影響はペダル上に表れる。図を見ると、右足の外側が浮くような感じに(図2はかなり誇張して描いているので、ここまで浮いてはいないと思うが)なっていることが分かる。従って、右足の外側にかかる加重は軽くなり、その感覚が「ペダルの軸が傾いている」と誤解した原因になっていたと思われる。

このような物理的な左右差と筋拘縮が、ジストニア発症の遠因となった。

間違ったペダリングスキルの獲得

筋拘縮を起こすと筋力が低下するため、右の殿筋群や大腿四頭筋群は十分な筋力を発揮することができなくなった。しかし、そんな状態で更なるパワーアップを目指し、高い負荷でトレーニングを続けてしまった。その結果、通常のペダリングではあまり使われない筋肉を使うことを学習してしまい、これが直接的なジストニア発症の原因と考えられる。

なお、どのような経緯でこのようなペダリングになってしまったかは、発生機序編で考察する

過大なストレス

ジストニア発症の原因として、過大なストレスがジストニアを引き起こす可能性が指摘されている。減量によるストレス、思い通りにトレーニングできないストレス、勝ちたい→勝たなければならないと勝手に自分で追い込んだストレス……。正直、ものすごいストレスをため込んでいた。直接的な原因では無いにせよ、影響はあったように思われる。

まとめ

ペダリングジストニアになってしまった原因について考察した。原因は複数あると考えられ、

  • 脚の左右差と筋拘縮
  • 間違ったペダリングスキルの獲得
  • 過大なストレス

などが挙げられる。ジストニアにならないためには、できるだけ左右差を作らない、体のメンテナンスをしっかり行う、上手くストレスを軽減すること等が重要であるように思われる。

次回は、ジストニアに至るまでの時間経過をペダリングモニターのデータで示す。また、間違ったペダリング運動がなぜ「不随意運動」になってしまうのかを考察する。

最後に

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