富士スバルラインと乗鞍エコーラインのタイムとパワーを比較する

マウンテンサイクリングin乗鞍2017直前企画第2弾。Stravaのリーダーボードから、Mt.富士ヒルクライムとマウンテンサイクリングin乗鞍で使用されるコースのタイムとパワーを比較する。

直前企画第1弾では、関西ローカルな十三峠と乗鞍エコーラインとの比較を行った。今回は、日本一参加者が多い大会であるMt.富士ヒルクライムで使用される富士スバルラインと乗鞍エコーラインとの比較を行う。なお、手法や注意点などは前回の記事に記載しているので、前回の記事を読んでからこの記事を読むことをお勧めする。

富士スバルラインと乗鞍エコーラインの特徴

ここでは、(皆さんすでにご存じだとは思うが)両コースの特徴について簡単に述べる。なお、データはMt.富士ヒルクライムマウンテンサイクリングin乗鞍の公式HPより抜粋した。

富士スバルライン

距離24km、平均勾配5.2%、最大勾配7.8%、標高差1,255mである。また、ゴール地点の標高は2,306mだ。距離は乗鞍エコーラインより長いものの、平均勾配はそこまできつくなく勾配の緩急も少ないのが特徴だ。

乗鞍エコーライン

距離20.5km、平均勾配6.1%、最大勾配記載無し(推定13~17%)、標高差1,260mである。ゴール地点の標高は国内舗装道路最高点の2,720m。標高差は富士スバルラインとほぼ同じだが、コース前半と後半の勾配がまるで違う。また、富士スバルラインよりも標高が高いためより空気が薄いと思われる。

富士スバルラインと乗鞍エコーラインのタイムを比較する

比較するデータは、前回と同様にStravaのセグメントリーダーボードから抽出した。使用したセグメントは、「富士ヒルクライム (Segment id: 664293)」と「Norikura (Segment id: 853124)」である。

全データの比較

まず、両セグメントのリーダーボードに掲載されているユーザー1,039名を抽出し、Strava IDは異なるものの明らかに同一人物であると思われる2ユーザー及び乗鞍のタイムが明らかに遅い(16時間09分39秒)1ユーザーを除いた1,037名(男性927名、女性62名、性別設定無し48名)のデータを比較した。図1に、比較結果を示す。

図1. 全ユーザーデータの比較結果(タイム)

x 軸が富士スバルラインのタイム、y 軸が乗鞍エコーラインのタイムである。切片を0としたときの回帰曲線は、

y = 1.1424 x

となった。すなわち、富士スバルラインのタイムの約1.14倍が乗鞍の予想タイムであると言っている。しかし、図1を見ればタイムが遅いほどデータにばらつきがあるのは明らかであるため、この回帰曲線はあまり役に立ちそうに無い。ここからデータ数を絞っていくことにする。

両セグメントで上位50%のランカーを抽出して比較

遅いタイムを排除するため、1,037名の中から両方のセグメントで上位50%にランキングされているユーザー547名(男性504名、女性22名、性別設定無し21名)を抽出した。比較結果を図2に示す。

図2. 両セグメントで上位50%にランキングされているユーザーデータの比較結果(タイム)

切片を0としたときの回帰曲線は、

y = 1.0778 x

となった。全ユーザーの場合よりもばらつきが小さく、回帰曲線の当てはまりも良いように見える。

両セグメントで上位20%のランカーを抽出して比較

さらにデータ数を絞ってみる。1,037名の中から両方のセグメントで上位20%にランキングされているユーザー213名(男性203名、女性4名、性別設定無し6名)を抽出した。比較結果を図3に示す。

図3. 両セグメントで上位20%にランキングされているユーザーデータの比較結果(タイム)

切片を0としたときの回帰曲線は、

y = 1.0568 x

となった。こうしてみると、乗鞍の方が距離は短いし獲得標高も5mほど高いだけなのに、全体的にタイムが遅いことが分かる。乗鞍の方が最大勾配がきつく失速しやすい、または空気が薄くパワーが出にくいことが原因であると考えられる。

余談だけど、男子に混じって両方のリーダーボードで上位20%に食い込んでる女性が4名もいるのか。猛者だな。

富士スバルラインと乗鞍エコーラインのパワーを比較する

距離や勾配の変化に違いはあるものの、獲得標高やタイムレンジはほぼ同じであるため、要求されるパワーレンジも平均すると比較的似ていると思われる。ここでは、両コースにおけるパワーの比較を行う。

全データの比較

1,037名の内、富士スバルラインと乗鞍エコーラインの両方でデバイスを使用してパワーが記録されている215名のデータを抽出し、いずれかのコースで0Wを記録していた4名を除く211名のデータを比較した。比較結果を図4に示す。

図4. 全ユーザーデータの比較結果(パワー)

縦軸が乗鞍エコーラインで記録されたパワー、横軸が富士スバルラインで記録されたパワーである。切片を0としたときの回帰曲線は、

P_{n} = 0.9268 P_{f}

となった。ここで、P_{n}は乗鞍エコーラインの推定パワー、P_{f}は富士スバルラインのパワー(入力)である。乗鞍は、パワーが出にくいともっぱら噂の富士スバルラインよりもさらに7.3%もパワーが低下する傾向にあるらしい。富士スバルラインで250Wを出してた人は約232Wまでパワーが低下する。恐ろしや。

両セグメントで上位50%のランカーを抽出して比較

前セクションと同様、上位50%のランカーを抽出して比較してみよう。211名の中から両方のセグメントで上位50%にランキングされているユーザー154名(男性147名、女性3名、性別設定無し4名)を抽出した。比較結果を図5に示す。

図5. 両セグメントで上位50%にランキングされているユーザーデータの比較結果(パワー)

切片を0としたときの回帰曲線は、

P_{n} = 0.9567 P_{f}

となった。係数は上昇したものの、乗鞍の方がパワーが出ないという傾向に変わりは無い。富士スバルラインで250Wを出してた人は約239Wまでパワーが低下する。この11Wの差は結構大きいように思う。

両セグメントで上位20%のランカーを抽出して比較

最後に、211名の中から両方のセグメントで上位20%にランキングされているユーザー81名(男性79名、女性1名、性別設定無し1名)を抽出した。比較結果を図6に示す。

図6. 両セグメントで上位20%にランキングされているユーザーデータの比較結果(パワー)

切片を0としたときの回帰曲線は、

P_{n} = 0.9619 P_{f}

となった。上位20%ランカーでは上位50%ランカーと比べてあまり係数は変わらない。しかし図5と図6を見比べると、図6の方が値のばらつきが小さく安定して同じレベルのパワーを発揮している傾向が読み取れる。約3.8%ほどパワーが低下するのは空気の薄さが原因か。真の理由はもちろん分からないが、面白い傾向だ。

まとめ

富士スバルラインと乗鞍エコーラインのタイム及びパワーをStravaリーダーボードのデータを用いて比較した。その結果、乗鞍エコーラインのタイムはランキング上位20%で約1.06倍、ランキング上位50%で約1.08倍、全体で約1.16倍ほど富士スバルラインのタイムより遅く、パワーはランキング上位20%で約0.962倍、ランキング上位50%で約0.957倍、全体で約0.93倍ほど低い傾向にあることが分かった。上位陣ほど両者の差が少なく、性格の全く違うコースだとしても安定した能力を発揮していることが読み取れた。

パワーの低下については、ある程度強い相関が現れているようだ。パワーメーターでペーシングを考えている方は、低下率も考慮した目標設定をした方が無難と思われる。ほんのちょっとだけ高い値(例えば0.97倍とか)に設定すると、良いニンジンになるかもしれない。

また、前回の記事でも述べたが、Stravaリーダーボードに載っているデータが全て全力アタックの結果である訳ではない。下位に行けば行くほど値が発散していくのは、コースの得意不得意では無く全力アタック率が下がるからと見ることも出来る。それでもある一定の傾向は見られるので、自分は緩斜面系(=富士)が得意なのか激坂系(=乗鞍)が得意なのかはたまたニュートラルなのかをこれらの図を使って見てみるのも面白いだろう。

最後に

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